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看板で本当に売上は変わるのか?視覚心理 × 行動科学 × 店舗CXで読み解く“集客できる看板”の条件

Posted by 大住 浩章 on 2025/12/10 13:00:00 JST

 

─看板は「ただの案内」ではない

商店街を歩いているとき、車で交差点を曲がった瞬間——
視界の端にふと飛び込んできた看板に、足が止まった経験はありませんか。

それは偶然ではありません。

看板は“表示物”ではなく、
店舗と生活者をつなぐ最初のストーリー装置 です。

どれだけ魅力的な商品やサービスを揃えていても、
口コミが高評価でも、
広告費を大量に投じていても、
そもそも店の存在が視界に入らなければ、
生活者はその価値に触れることすらできません。

にもかかわらず、現場では

 

・看板は“なんとなくデザインされる”


・視認性・可読性といった科学的要素が軽視される


・外観が集客に与える影響を数値で把握していない


というケースが非常に多いのが実情です。

看板は 行動科学・視覚心理・商圏動線設計 に基づいて
“来店率に直接影響する要素”です。

看板サーチでは、全国の特殊OOHや屋外広告・店舗サインを扱う立場から、
数多くの掲出実績と改善事例を見てきました。そこから明確に言えることがあります。

看板は店舗ビジネスにおいて最も再現性高く売上に効く施策である。

本記事では、実物写真を使わずとも理解できるよう、
視覚心理 × 行動科学 × 店舗CXの観点から
“看板が売上に効く理由”を体系化して解説していきます。


売上を自動で生み出す看板の設計論

 

 

1|なぜ看板は売上に影響するのか?(行動科学で読み解く)

人は見た目で判断■ 人は「視覚」で店を90%判断する

研究データによると、脳が処理する情報のうち 83%が視覚情報 です。
嗅覚3%、触覚2%とは比較にならないほど、
店舗の印象は“見た瞬間”に決まります。

さらに、人は 0.13秒以内に好き・嫌いの判断 を行うと言われています。
つまり、“看板の印象”は第一印象の最初の0.1秒に深く関わっています。


■ 初回接点の80%は「外観」で決まる

生活者は店舗を訪れる前に、無意識に以下の判断を行います。

  1. 視界に入る(認知)

  2. 何の店か判断する(理解)

  3. 入りやすそうか感じる(期待・安心)

  4. 行動(入店)

看板・ファサードが弱いと ①② が欠落し、
③のステップに進む前に“候補から外れてしまう” のです。


■ 看板は「認知 → 注目 → 行動」を司る

広告理論(AIDMA / AISAS / DECAX)で整理すると、
看板は 最初の“目詰まり”が起こりやすいパートを担う媒体 であり、
ここが改善されると行動全体が滑らかになります。

 
看板の改善
= 行動モデルの最初の障害を解消
= 来店率向上に最もダイレクトに効く

これが、看板が売上に効く根拠です。

 

売上につながる三大要素

 

2|集客できる看板の3大要素

視認性■ ① 視認性(見えるかどうか)

視認性は看板の“性能”。
どれだけ良い情報が載っていても、見えなければ意味がありません。


● 視認性の科学:距離 × 角度 × 速度

看板が見えるかどうかは 距離・角度・移動速度 の組み合わせで決まります。

  • 徒歩:じっくり見られるが距離は短い

  • 車:距離は長いが読む時間は短い

  • 自転車:視線は低く、看板の高さが影響

動線に合わない角度で設置された看板は、
見えるようで見えていません。


● 読める距離の公式(AAST基準と整合)

 
読める距離(m)= 文字高(cm) × 30

例えば文字高20cmの場合、
約600m先から認知できる 計算になります。

この公式を知らずに設計されている看板は非常に多く、
“読めない看板”の8割以上がここに原因があります。


● 色のコントラストは視認性の核心

背景と文字色のコントラスト比は、視認性に最大8倍の差を生みます。

 

高いコントラスト

・黒 × 黄

・白 × 紺

・赤 × 白


低いコントラスト

・水色 × 白

黄 × オレンジ

・グレー × グレー


ぱっと見で“なんとなく見づらい”看板は、
ほとんどがコントラスト不足です。

 


2可読性■ ② 可読性(伝わるかどうか)

視認性が“見える”なら、可読性は 理解されること

● 情報は「3秒で読める量」まで

歩行者が読める情報は 7〜12ワード程度
それ以上は“読まれずに通り過ぎて”しまいます。

看板は広告ではないため、
説明文はいらず、最重要情報に絞る必要があります。

 


● 視線は「Z型→F型」で動く

視線の流れは以下の順番で移動します。

  1. 左上

  2. 右上

  3. 左下

  4. 右下

この順番で“伝えたい情報”を配置すれば、
読みやすく理解しやすい看板になります。

 


3記憶性■ ③ 記憶性(覚えられるかどうか)

認知されても、覚えられなければ来店につながりません。

 


● 単純接触効果

何度も見ることで好意が高まる心理効果。
看板は「毎日同じ動線に存在する」ため、この効果が最大化します。

 


● 色彩心理

色は業種別に期待を生みます。

 

・飲食:赤・橙(空腹感)

ドラッグストア:青(安心・信頼)

・美容室:白・黒(清潔・洗練)


色の選び方ひとつで“感じる価値”が変わります。

 


● ブランド一貫性

看板・外観・Web・チラシの色調が一致していると、
記憶システムに“同じ店”として定着しやすくなります。

 

 

 

3|売上につながる看板設計5ステップ

 

● ステップ1:目的を決める

看板の目的は以下の3つ。

  1. 認知

  2. 誘導

  3. ブランド形成

目的を曖昧にしたまま作ると、
情報が散らかり“伝わらない看板”になります。


● ステップ2:動線を把握する

見る人はどこを歩き、どの角度から見て、どの速度で通るのか。
これを把握せずに看板をつくるのは、
照準を合わせずに広告を打つのと同じです。


● ステップ3:情報階層の設計

① 店の種類・ロゴ(最上位)
② USP(強み)
③ CTA(行動喚起)

看板で“説明”しようとすると失敗します。
「何を最初に認知させるか」が生命線です。


● ステップ4:色 × フォントの決定

業種別に最適な色、雰囲気に最適なフォントを選ぶ。
特に 医療・美容はフォント選びで印象が大きく変わる

 


● ステップ5:掲出後の効果測定

・通行量(インプレッション)

・入店率

・Google Map 外観写真 CTR

クエリ数の変化


看板改善 → 外観写真改善 → Google検索のクリック率改善
という流れは、店舗型ビジネスで非常に強いです。

 

 

4|集客できない看板のNG例

 

NG

 

集客できない看板には、共通して「科学的に来店率を下げる要因」が存在します。
ここでは、看板サーチの現場知見も踏まえ、10カテゴリに分けて整理します。


■ NG①|視認性が低い(もっとも多い致命的問題)

視認性は“見えるかどうか”。
これが欠けると、看板は存在していないのと同じです。

✘ 文字サイズが小さすぎる

・読める距離:文字高 × 30 の公式に満たない

・遠くから“何の店かわからない”状態になる


✘ 背景と文字色のコントラスト不足

・水色 × 白

・黄色 × オレンジ

・グレー × グレー
→ 弱コントラストは“ぼやけて見える”


✘ 設置角度が動線とズレている

・歩行者の進行方向と垂直の角度

・車のアイレベルより高すぎる
→ 見える“つもり”で見られていない典型例



■ NG②|可読性が低い(伝わらない)

視認性と異なり、“読める・理解できるかどうか”に関するNG。

✘ 情報過多(読み切れない)

・文字が詰まりすぎ

説明文が長い

・写真と文字が乱立

→歩行者が読めるのは 7〜12ワード が限界。

✘ 文字間隔・行間が不適切

・文字同士が近く“つぶれて見える”

・行間が狭く読みにくい


✘ フォントが不適または統一されていない

・手書き調フォントで読みにくい

・極端に細いフォント

・看板内で異なるフォントが混在



■ NG③|情報の優先順位が間違っている

「伝えたい順番」と「目に入る順番」が一致していない。

✘ 店名が小さい

店のカテゴリ・業態が最初に認知されない。

✘ USP(強み)が埋もれている

何を選ぶ理由になるのかが伝わらない。

✘ 行動喚起(CTA)がない

・入り口はどこ?

・駐車場は?

・右折?左折?

情報がないと 迷わせ → 離脱 につながる。

 


■ NG④|ブランドと外観の世界観がズレている

“伝わってほしい印象”と“実際の印象”が食い違うケース。

✘ カラー選定が業種とミスマッチ

例:

・整骨院なのにブラック × レッドで強すぎる

・高級感を出したいのに明朝体ではなく丸ゴシック

✘ 看板だけ浮いている

外観・店頭・看板の色調がバラバラで統一感がない。

 


■ NG⑤|状態が悪い(汚れ・破損・古い情報)

心理的に「不安」を与えてしまうNG。

✘ 色あせ・破れ・汚れ

視認性が落ちるだけでなく、“不衛生な印象”を与える。

✘ 古い情報が放置されている

・営業時間の変更後に修正がない

・価格が違う
→ 「管理が行き届いていない店」と判断される。



■ NG⑥|意味が曖昧で店の種類が伝わらない

看板の目的は「最初の3秒で業種を理解させること」。

✘ 抽象的コピー

例:「あなたの暮らしを応援します」→ 何の店かわからない

✘ 写真だけで伝えようとして失敗

料理写真だけ・人物写真だけ → 業種が特定できない

 


■ NG⑦|夜間視認性が弱い(光量不足)

夜営業の店が特に陥りがちなNG。

✘ 光量が弱い・ムラがある

・看板の一部が暗い

・LEDが切れている


✘ 色温度がバラバラ

青白すぎる/黄色すぎる照明が店の印象を弱める。

 


■ NG⑧|動線を無視した配置

✘ 歩行者の目線より高すぎる・低すぎる

人間の視線は進行方向+15度が最も情報を捉えやすい。

✘ 車の“止まる位置”から見えない

・信号待ち位置

・駐車場入り口の角度


動線分析は看板設計の基本中の基本。

 


■ NG⑨|心理学的に不快・不安を与える要素がある

✘ 文字が詰まって圧迫感がある

✘ 色の組み合わせが刺激的すぎる

✘ 視覚ノイズ(複雑な背景・柄)が多い

特にヘルスケア系は“不安感”の影響が大きく、
売上に直結してしまう。

 


■ NG⑩|目的・効果測定が存在しない(設計の欠如)

看板は 広告 × サイン × 行動設計 の媒体。

✘ 目的が曖昧なままデザインされている

・認知?

・誘導?

・ブランド?


目的が違えばレイアウトや色が変わる。

 

✘ 改善効果を測定していない

・通行量

・Google Map外観CTR

・来店率


測定できない看板は永遠に最適化されない。

 


【NG例のまとめ】

集客できない看板は、以下の構造問題を抱えています。

  1. 見えない(視認性の欠如)

  2. 読めない(可読性の不足)

  3. 伝わらない(情報優先順位の欠如)

  4. 覚えられない(ブランド一貫性の欠如)

  5. 信用されない(状態劣化・心理的ノイズ)

この5つのいずれかを解消するだけで、
来店率は 5〜20% 改善 することが数多くの分析で確認されています。



 

5|【専門編】業種別:看板が売上に効く理由と最適設計


■ 業態①:飲食店(衝動来店型)

● 看板が強烈に効く業態

飲食店は「今ここで入るか」を判断するため、
外観と看板が来店率に“直接”影響します。

● デザイン要点

・赤・橙:空腹刺激

・太字ゴシック体:料理ジャンルの認知

・USP(名物料理)を短く明示


● 効果の一般傾向

・初来店率:+10〜20%

・認知改善:+30〜50%



■ 業態②:スーパーマーケット(日常反復型)

● “毎日見る看板”は記憶に効く

スーパーは商圏内で“比較される店”なので、
看板・外観で決定される割合が多い業態。

● デザイン要点

・青・緑:清潔 × 安心感

・店舗規模や価格帯をサブ看板で示す

・駐車場導線との整合


● 一般的改善幅

・認知率:+15%

・来店数:+5〜8%




■ 業態③:ドラッグストア(機能認知型)

● 「何ができるか」が明確であることが最重要

とくに調剤併設型は “わかりやすさ=価値” です。

● デザイン要点

・白 × 赤、黄 × 青など高コントラスト

・「処方箋受付」の明示

・駐車場誘導矢印(P→)


● 改善傾向

・認知率:+20%

・来店率:+5〜10%



■ 業態④:美容室・サロン(CX型)

● 外観の雰囲気が“店選びそのもの”

入店ハードルが高いため、
ブランド世界観が看板にも求められます。

● デザイン要点

・白・黒のモノトーン

・細字ロゴで“洗練・透明感”

・ファサード全体と統合した設計


● 効果

・初来店率:+5〜12%

・レビュー改善傾向



■ 業態⑤:整骨院・クリニック(信頼形成型)

● 不安ゼロが理想

医療・ヘルスケアでは、ほんの少しの違和感が
「この店は大丈夫?」につながります。

● デザイン要点

・青・白で信頼 × 清潔感

・価格と診療内容の明朗性

・女性ユーザー多い場合は緑の比率UP


● 効果

・認知率:+10〜15%

初回予約:+5%

 

美容室SM

 

 

6|AIO(AI検索)× Google Map × 看板の未来


AIO(AI検索)の時代では、
現実世界の店舗情報(外観・写真・看板) を検索エンジンがより重視します。

AIは画像から

 

・店舗ジャンル

・看板の可読性

ブランドカラーの一貫性

・店舗の清潔度
などを“意味理解”します。


つまり、

外観・看板の改善は、リアル集客だけでなくSEOにも効く時代に入った。

Google Mapの外観写真クリック率が高い店は
検索順位にも良い影響が出やすく、
店舗集客の勝ちパターンとして確立しつつあります。

 

AI検索

 

7|まとめ

サムネイル-1 

看板は“最も再現性の高い集客施策”。

・視認性

・可読性

・記憶性


この3つの科学的改善だけで来店率は変わり、
業態によっては 5〜20% の改善 が期待できます。

看板はアートではなく、
行動変容を設計するマーケティング装置 です。

看板サーチでは、屋外広告の特殊展開から
店舗のサイン改善まで一貫した支援が可能です。
「見える化 × 集客設計」を通じて、
店舗の価値が正しく伝わる状態をつくるお手伝いをしています。

 

 

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