みなさんはOOHという言葉をご存じでしょうか。
これはOut of home(アウト・オブ・ホーム)の略語で、家の外にある広告のことを指します。例えば、ビルの上にある屋上看板、電車内の中づり広告、バスのラッピング等々、これらは全てOOHになります。
OOHという媒体は非常に古くから存在する媒体ですが、近年は屋外ビジョンや電車内で見かけるようなサイネージ、すなわち「DOOH」(Digital Out Of Home:デジタル屋外広告)が増えてきています。渋谷のスクランブル交差点から見えるものが代表的ですね。
さて、近年ではこの「DOOH」の頭にさらにDを加えた「DDOOH」(ダイナミックDOOH)というワードに熱い注目が集まっています。
これは、今までのような単なるスケジューリングされた広告や情報を放映するものではなく、様々な外部データと連動させながら、文字通りダイナミック(動的)に表示内容を変化させるものとなります。
とはいえ、ダイナミックといってもなかなか想像しにくいでしょう。百聞は一見に如かずということで、さっそく事例をご紹介します。
■気象(天気・気温)連動型
①日本「サントリー金麦」
お花見に欠かせないものといえば、やはりビールですね。
サントリーの金麦を訴求した広告では、東京メトロ主要13駅のサイネージで桜の開花情報、周辺のお花見スポットを展開しました。しかし、桜の開花情報は日に日に変化していくもの。気が付いたら見ごろの時期が過ぎていたなんてことも身に覚えがあるのではないでしょうか。
そこで導入されたのが、日々更新される開花情報に加え、リアルタイムの天候、時間のデータをもとに、駅ごとに最適なクリエイティブを自動生成して掲出するシステムです。
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クリエイティブのパターンは数億にもなり、とてもこれまでのOOHのように人力で捌ける作業量ではありません。まさに、DOOHならではの施策といえます。
②オランダ「スコッチ&ソーダ社」
オランダのカジュアルブランド「スコッチ&ソーダ」は、周囲の天候とリアルタイムに連動して、最適なコーディネートが表示される広告を実施しました。
Scotch & Soda Whatever Weather Billboard from Bas Manders on Vimeo.
やや風の強い曇りの日には、薄手のコートにマフラー、そして雨が降ると厚手のコートが表示されているのがわかるかと思います。
事前に用意したクリエイティブを、設定した気温や天候に応じて出し分けすることで、通行人への訴求力が高まります。
③スウェーデン「Apoteket Hjärtat社」
多くの通行人が行きかう通りに佇む看板に、一人の男性が無表情で映し出されています。その横を、歩きタバコの男性が近づいたところ、画面内の男性が苦しそうに咳き込みました。
スウェーデンの薬局「Apoteket Hjärtat」が実施したこの禁煙グッズの広告は、サイネージ内に内蔵されたセンサーが煙を感知すると、映像が切り替わる仕組みです。
喫煙者が目をそらしてしまいがちな広告も、こうしてリアルタイムに動的な訴求をされることで思わず反応してしまいますね。
■インタラクティブ(双方向)型
④日本「資生堂マキアージュ」
化粧品の中でも、特に全体の印象を左右するルージュ。自分に合う色を日々模索している女性も少なくないでしょう。
「資生堂マキアージュ」が六本木駅のサイネージで実施した広告は、日本初の人工知能を搭載したものになります。
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サイネージの前に立つと、三色のルージュが表示され、好きな色を見るように促されます。すると、選んだ色に合わせた診断結果と広告が映し出され、最後には EC サイトのクーポンがQRコードでプレゼントされます。
サイネージに搭載されたカメラと人工知能が人の視線を検知し、異なったクリエイティブを出し分けるというもので、まさにインタラクティブ(双方向)型の代表例といえます。
⑤日本「TOHOシネマズ:ジュラシックワールド」
引き続き同じ六本木駅サイネージでのインタラクティブ型事例となります。
映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』を告知したもので、サイネージに映し出された扉の向こうで暴れる恐竜を、手をかざすことによって抑え込む、というさながらテーマパークのような体験ができます。
恐竜が画面いっぱいに登場した後は、そのまま最寄りのTOHOシネマズの上映時間と空き状況がリアルタイムで案内されます。広告体験の余韻の中で、自然と映画館へ足を運びたくなる仕組みとなっています。
いかがだったでしょうか。
一口にDDOOHといっても、さまざまな展開方法がありました。
商品や訴求内容によって、柔軟に効果的な施策が実施可能となることが特徴です。
また、OOHのデジタル化によって、ネットワーク化された広告在庫から希望の予算と期間に応じて、掲出することも可能です。
これによって、今での純広告ような仕組みでは費用的に手が出せなかった場所に広告を掲出することも可能となってきています。
デジタルサイネージはまだまだ発展途上の媒体ですが、だからこそ多くの可能性を秘めた媒体です。少しでもご興味持たれましたら、ぜひ弊社にご相談いただければと思います。