商店街を歩いているとき、車で交差点を曲がった瞬間——
視界の端にふと飛び込んできた看板に、足が止まった経験はありませんか。
それは偶然ではありません。
看板は“表示物”ではなく、
店舗と生活者をつなぐ最初のストーリー装置 です。
どれだけ魅力的な商品やサービスを揃えていても、
口コミが高評価でも、
広告費を大量に投じていても、
そもそも店の存在が視界に入らなければ、
生活者はその価値に触れることすらできません。
にもかかわらず、現場では
・看板は“なんとなくデザインされる”
・視認性・可読性といった科学的要素が軽視される
・外観が集客に与える影響を数値で把握していない
というケースが非常に多いのが実情です。
看板は 行動科学・視覚心理・商圏動線設計 に基づいて
“来店率に直接影響する要素”です。
看板サーチでは、全国の特殊OOHや屋外広告・店舗サインを扱う立場から、
数多くの掲出実績と改善事例を見てきました。そこから明確に言えることがあります。
本記事では、実物写真を使わずとも理解できるよう、
視覚心理 × 行動科学 × 店舗CXの観点から
“看板が売上に効く理由”を体系化して解説していきます。
研究データによると、脳が処理する情報のうち 83%が視覚情報 です。
嗅覚3%、触覚2%とは比較にならないほど、
店舗の印象は“見た瞬間”に決まります。
さらに、人は 0.13秒以内に好き・嫌いの判断 を行うと言われています。
つまり、“看板の印象”は第一印象の最初の0.1秒に深く関わっています。
生活者は店舗を訪れる前に、無意識に以下の判断を行います。
視界に入る(認知)
何の店か判断する(理解)
入りやすそうか感じる(期待・安心)
行動(入店)
看板・ファサードが弱いと ①② が欠落し、
③のステップに進む前に“候補から外れてしまう” のです。
広告理論(AIDMA / AISAS / DECAX)で整理すると、
看板は 最初の“目詰まり”が起こりやすいパートを担う媒体 であり、
ここが改善されると行動全体が滑らかになります。
看板の改善
= 行動モデルの最初の障害を解消
= 来店率向上に最もダイレクトに効く
これが、看板が売上に効く根拠です。
視認性は看板の“性能”。
どれだけ良い情報が載っていても、見えなければ意味がありません。
看板が見えるかどうかは 距離・角度・移動速度 の組み合わせで決まります。
徒歩:じっくり見られるが距離は短い
車:距離は長いが読む時間は短い
自転車:視線は低く、看板の高さが影響
動線に合わない角度で設置された看板は、
見えるようで見えていません。
読める距離(m)= 文字高(cm) × 30
例えば文字高20cmの場合、
約600m先から認知できる 計算になります。
この公式を知らずに設計されている看板は非常に多く、
“読めない看板”の8割以上がここに原因があります。
背景と文字色のコントラスト比は、視認性に最大8倍の差を生みます。
高いコントラスト
・黒 × 黄
・白 × 紺
・赤 × 白
低いコントラスト
・水色 × 白
・黄 × オレンジ・グレー × グレー
ぱっと見で“なんとなく見づらい”看板は、
ほとんどがコントラスト不足です。
視認性が“見える”なら、可読性は 理解されること。
歩行者が読める情報は 7〜12ワード程度。
それ以上は“読まれずに通り過ぎて”しまいます。
看板は広告ではないため、
説明文はいらず、最重要情報に絞る必要があります。
視線の流れは以下の順番で移動します。
左上
右上
左下
右下
この順番で“伝えたい情報”を配置すれば、
読みやすく理解しやすい看板になります。
認知されても、覚えられなければ来店につながりません。
何度も見ることで好意が高まる心理効果。
看板は「毎日同じ動線に存在する」ため、この効果が最大化します。
色は業種別に期待を生みます。
・飲食:赤・橙(空腹感)
・ドラッグストア:青(安心・信頼)・美容室:白・黒(清潔・洗練)
色の選び方ひとつで“感じる価値”が変わります。
看板・外観・Web・チラシの色調が一致していると、
記憶システムに“同じ店”として定着しやすくなります。
看板の目的は以下の3つ。
認知
誘導
ブランド形成
目的を曖昧にしたまま作ると、
情報が散らかり“伝わらない看板”になります。
見る人はどこを歩き、どの角度から見て、どの速度で通るのか。
これを把握せずに看板をつくるのは、
照準を合わせずに広告を打つのと同じです。
② USP(強み)
③ CTA(行動喚起)
看板で“説明”しようとすると失敗します。
「何を最初に認知させるか」が生命線です。
業種別に最適な色、雰囲気に最適なフォントを選ぶ。
特に 医療・美容はフォント選びで印象が大きく変わる。
・通行量(インプレッション)
・入店率
・Google Map 外観写真 CTR
クエリ数の変化
看板改善 → 外観写真改善 → Google検索のクリック率改善
という流れは、店舗型ビジネスで非常に強いです。
集客できない看板には、共通して「科学的に来店率を下げる要因」が存在します。
ここでは、看板サーチの現場知見も踏まえ、10カテゴリに分けて整理します。
視認性は“見えるかどうか”。
これが欠けると、看板は存在していないのと同じです。
・読める距離:文字高 × 30 の公式に満たない
・遠くから“何の店かわからない”状態になる
・水色 × 白
・黄色 × オレンジ
・グレー × グレー
→ 弱コントラストは“ぼやけて見える”
・歩行者の進行方向と垂直の角度
・車のアイレベルより高すぎる
→ 見える“つもり”で見られていない典型例
視認性と異なり、“読める・理解できるかどうか”に関するNG。
・文字が詰まりすぎ
・説明文が長い・写真と文字が乱立
→歩行者が読めるのは 7〜12ワード が限界。
・文字同士が近く“つぶれて見える”
・行間が狭く読みにくい
・手書き調フォントで読みにくい
・極端に細いフォント
・看板内で異なるフォントが混在
「伝えたい順番」と「目に入る順番」が一致していない。
店のカテゴリ・業態が最初に認知されない。
何を選ぶ理由になるのかが伝わらない。
・入り口はどこ?
・駐車場は?
・右折?左折?
→情報がないと 迷わせ → 離脱 につながる。
“伝わってほしい印象”と“実際の印象”が食い違うケース。
例:
・整骨院なのにブラック × レッドで強すぎる
・高級感を出したいのに明朝体ではなく丸ゴシック
外観・店頭・看板の色調がバラバラで統一感がない。
心理的に「不安」を与えてしまうNG。
視認性が落ちるだけでなく、“不衛生な印象”を与える。
・営業時間の変更後に修正がない
・価格が違う
→ 「管理が行き届いていない店」と判断される。
看板の目的は「最初の3秒で業種を理解させること」。
例:「あなたの暮らしを応援します」→ 何の店かわからない
料理写真だけ・人物写真だけ → 業種が特定できない
夜営業の店が特に陥りがちなNG。
・看板の一部が暗い
・LEDが切れている
青白すぎる/黄色すぎる照明が店の印象を弱める。
人間の視線は進行方向+15度が最も情報を捉えやすい。
・信号待ち位置
・駐車場入り口の角度
動線分析は看板設計の基本中の基本。
特にヘルスケア系は“不安感”の影響が大きく、
売上に直結してしまう。
看板は 広告 × サイン × 行動設計 の媒体。
・認知?
・誘導?
・ブランド?
目的が違えばレイアウトや色が変わる。
・通行量
・Google Map外観CTR
・来店率
測定できない看板は永遠に最適化されない。
集客できない看板は、以下の構造問題を抱えています。
見えない(視認性の欠如)
読めない(可読性の不足)
伝わらない(情報優先順位の欠如)
覚えられない(ブランド一貫性の欠如)
信用されない(状態劣化・心理的ノイズ)
この5つのいずれかを解消するだけで、
来店率は 5〜20% 改善 することが数多くの分析で確認されています。
飲食店は「今ここで入るか」を判断するため、
外観と看板が来店率に“直接”影響します。
・赤・橙:空腹刺激
・太字ゴシック体:料理ジャンルの認知
・USP(名物料理)を短く明示
・初来店率:+10〜20%
・認知改善:+30〜50%
スーパーは商圏内で“比較される店”なので、
看板・外観で決定される割合が多い業態。
・青・緑:清潔 × 安心感
・店舗規模や価格帯をサブ看板で示す
・駐車場導線との整合
・認知率:+15%
・来店数:+5〜8%
とくに調剤併設型は “わかりやすさ=価値” です。
・白 × 赤、黄 × 青など高コントラスト
・「処方箋受付」の明示
・駐車場誘導矢印(P→)
・認知率:+20%
・来店率:+5〜10%
入店ハードルが高いため、
ブランド世界観が看板にも求められます。
・白・黒のモノトーン
・細字ロゴで“洗練・透明感”
・ファサード全体と統合した設計
・初来店率:+5〜12%
・レビュー改善傾向
医療・ヘルスケアでは、ほんの少しの違和感が
「この店は大丈夫?」につながります。
・青・白で信頼 × 清潔感
・価格と診療内容の明朗性
・女性ユーザー多い場合は緑の比率UP
・認知率:+10〜15%
・初回予約:+5%
AIO(AI検索)の時代では、
現実世界の店舗情報(外観・写真・看板) を検索エンジンがより重視します。
AIは画像から
・店舗ジャンル
・看板の可読性
・ブランドカラーの一貫性・店舗の清潔度
などを“意味理解”します。
つまり、
Google Mapの外観写真クリック率が高い店は
検索順位にも良い影響が出やすく、
店舗集客の勝ちパターンとして確立しつつあります。
7|まとめ
看板は“最も再現性の高い集客施策”。
・視認性
・可読性
・記憶性
この3つの科学的改善だけで来店率は変わり、
業態によっては 5〜20% の改善 が期待できます。
看板はアートではなく、
行動変容を設計するマーケティング装置 です。
看板サーチでは、屋外広告の特殊展開から
店舗のサイン改善まで一貫した支援が可能です。
「見える化 × 集客設計」を通じて、
店舗の価値が正しく伝わる状態をつくるお手伝いをしています。
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