屋外広告の価値や料金を左右する大きな要素はリーチ(届く範囲)です。どのくらい多くの人に見てもらえるのかという「リーチ数」や、どんな人に見てもらえるのかという「リーチの質」が関係してきます。
また、ここでは屋外広告はビルの屋上、壁面などに設置された広告看板の事を指しますが、この広告のあるビルがどこにあるのか「場所」という要素も料金に大きく関わります。郊外の看板よりも都会にある看板の方が当然地価も高く、相対的に屋外広告の料金も高くなります。その他料金にかかわる要素としては広告のあるビルのオーナーさん等も要素となりますが、以下では「リーチ」という要素に関して焦点を当て、その分析手法をご紹介したいと思います。
まず、屋外広告が置かれている状況に関し触れておきますと、そもそも屋外広告はリーチ獲得の目的で、人が大勢いる街なかに広告出稿することに対して価値を認識されているかと思いますが、昨年2020年の緊急事態宣言下で街に人がいなくなった際には、その広告価値が疑問視されました。特に一度目の緊急事態宣言下には極めてナーバスな状況でしたが、2020年末頃から徐々に人流が戻り、失われかけていた屋外広告の価値も徐々に回復しつつある。そんな状況です。
毎年、電通が発表している「日本の広告費」でも、屋外広告に限らず2020年の日本の総広告費用は前年比88.8%と9年振りのマイナス成長でした。
コロナ以前から言われていることですが、特に若年層に対して広告が伝わりにくくなっていました。そこで、街に出て人がいることの価値、そうした場所という部分に価値を見出し、若年層の誰もがスマホを持ち歩き、SNSを通じて情報を拡散することが当たり前の時代だからこそ、屋外広告×SNSの組み合わせが価値を向上させたのだと思います。特に渋谷のような街では屋外広告自体が極めて多くなっています。
若年層にリーチする、そうした「リーチの質」を重視した結果、渋谷には多くの屋外広告が溢れています。
よく屋外広告は、ユーザーが自ら見ようとしなくても視界に飛び込んでくる「強制視認」のメディアとも言われます。ただ別の見方をすると「偶然出会う」メディアとも言えます。検索エンジンやSNSなどインターネット広告は、ユーザーの行動に応じて興味関心を持ちやすいジャンルの広告を表示させる仕組みです。そういった点を比べると、屋外広告は必然性だけではない偶然の出会いを演出できる点から、ユーザーの心を動かしやすいメディアなのではないかと思います。クリエイティブの力、コピーの力を駆使することで出会いを演出し、「誰かに伝えたくなるメッセージ」を発信しています。
こうしたことから、屋外広告はどこに設置するか、その広告の前はどんな人がどれくらい通過するのか。これらが非常に重要な要素となることがわかって頂けると思います。これまでは、駅の乗降客数データや、道路交通センサスデータ、もしくはカチカチと自動車や歩行者を調査員がカウンターで計測する通行量調査が、屋外広告の価値を客観的に判断する数字の主流でした。
乗降客数では、実際に屋外広告の前を通過する人数はわかりませんし、調査員が実測する方法は正確ですが、様々な要因によって変化します。年末年始、お盆、ゴールデンウィーク等のように時期によって通行量は変化しますし、それこそ、天気によっても変わります。特に新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言やまん延防止重点措置により、外出自粛で市街の人の流れが減少した結果、調査員がカウンターで計測する通行量調査はとても少なくなりました。そこでご紹介したいのが以下の手法です。
【リーチをスマホ位置情報データから分析する】
ご紹介させていただきたいのが、Location Navigator(ロケーションナビゲーター)というツールです。Location Navigator(ロケーションナビゲーター)は通信キャリアのスマートフォンから最短数分間隔で常にデータを取得しており、その取得済のGPS位置情報データを集計・加工することで資料として可視化(見える化)できるサービスです。
緊急事態宣言下のテレビ報道では、渋谷や銀座の街を写し、携帯電話の位置情報を使ってコロナ禍前後などの人の流れを「見える化」したMAPやグラフが記憶にあたらしいかと思います。これはLocation Navigator(ロケーションナビゲーター)と同じように携帯電話利用者から許諾を得て取得したGPSによる位置情報ビッグデータを分析プログラムで総体的かつ統計的に加工を行った「人流データ」です。
どのくらいの人数が、そこに滞在しているかを把握することができます。
データ提供:株式会社Agoop
これまで通行量調査や交通量調査の目的は、自治体の市街化計画や、スーパーやレストランなどの新規出店や開業、テナントリーシングといった商業開発、都市計画・不動産開発、交通広告・イベントの効果など、企業の出店計画や様々なマーケティング課題の解決のためのデータのひとつでした。
調査員を使った通行量調査や交通量調査などの実測は確かに正確ではあるものの、人手がかかり調査負荷が高く時間帯や曜日など調査対象日の網羅性が低く、長期間な調査も実施しにくい、総通過量以外の情報を調査しにくい等様々な課題がありました。
それらの課題に対し当社のLocation Navigator(ロケーションナビゲーター)という分析ツールが解決の一助になれば幸いです。
Location Navigator(ロケーションナビゲーター)は、携帯電話の位置情報サービスから取得した人流データを低コスト、スピーディに加工分析しご要望に合わせた形式でデータ納品させて頂くサービスです。また費用もこれまでの調査員を使った通行量調査に比べ圧倒的なコストダウンを実現しました。
基本資料プランとして1地点50,000円~(税別)分析が可能です。
携帯電話の位置情報(匿名化されたもの)を元に、どこにどういう人がいたのかを見える化します。
auスマートフォンから得られるGPSの位置情報/属性(性別・年代)情報を基に公的人口統計を参照して拡大推計処理された人口データを使った通行量資料をご提供しております。これは、auスマートフォンユーザーの同意のもとで取得した性・年代の情報を紐づけており、属性付きでの分析が可能となっています。
もちろん、日本人全員がauのスマートフォンを利用しているわけではありません。
このため、カウンターで計測する実数カウントほど精度は高い訳ではないものの、全人口推計(拡大推計)に対応しており実人数に近い人口動態をつかむことが可能です。
(※推計方法:スマートフォンユーザーから計測できる情報として、位置情報データから推計した居住地と契約情報に基づく性別・年代情報があります。これと2015年国勢調査の市区町村ごとの性・年代別人口データを比較して、拡大倍率を求めます。全人口推計値は、ユーザー数に拡大倍率を掛け合わせて、のべ人数を集計しています。これにより実際の通行人数、滞在人口、施設への来訪者に近い推計値を算出できます。)
また、高精度なGPS位置情報データ(内部的には最短2分間隔)を用いているので、例えば直近の道路単位の通行量や、店舗などの施設来訪者の分析が可能です。
なお、ここでいう位置情報データとは、KDDIがauスマートフォンユーザー同意のもとで取得し、誰の情報であるかわからない形式に加工した位置情報データおよび属性情報 (性別・年齢層)を指します。
これらのデータは蓄積された位置情報ビッグデータですので、任意な時間軸で調査することができ、時間的な制約や人件費を気にすることなく調査することが可能です。
また、総通過量だけでなく、通過速度(交通手段)や通過者の居住地、通過頻度なども合わせて調査することが可能です。
Location Navigator資料:銀座四丁目交差点 来訪者分析
Location Navigator資料:銀座四丁目交差点 徒歩通行人口分析
Location Navigator資料:銀座四丁目交差点 月別年齢別来訪者数推移
Location Navigator(ロケーションナビゲーター) を使えば、特定の期間での通行、交通状況を可視化することが可能です。一般的に、1日の調査をすると、10万円、20万円という費用が掛かっていたところ、一定”期間”のデータを集計することで、早く短時間でコストもこれまでの人を使った調査よりも格段に安く実施することができます。位置情報ビッグデータを活用した通行量分析をご提供いたします。
ご提供形態としては分析した資料をデータなどのアウトプットした状態でご納品させて頂きますので、ツールを使って自分で操作する必要がありません。必要なデータを私たちに仰って頂くだけです。
こちらを使って実際に屋外広告の前の単純な通行量はもちろん、どの年代の人が多いのか、どの時間帯に多いのか等、分析の幅も広いので活用方法も様々です。